年齢や性別を問わず、多くの人が悩まされている肩こり。
日本人の国民病ともいわれています。
進化の過程で二足歩行を始めた人類のからだは、
重たい頭を支えるため、もともと首や肩に負担がかかりやすい構造をしています。
肩こりが起こる直接的な原因は、筋肉の疲れと血行不良ですが、これらを招く要因はさまざまです。
今回は、肩こりの原因について解説します。
肩こりの直接的な原因は「筋肉疲労」と「血行不良」
肩のまわりの筋肉にはたくさんの血管が通っています。
筋肉の伸び縮みは、血液の循環を促し、全身に酸素や栄養を届けるポンプのような役割を果たしています。
しかし、肩の筋肉に負担をかけると、筋肉が硬くこわばって血管を圧迫し、血行が悪くなってしまいます。
すると、乳酸などの疲労物質が蓄積し、これが神経を刺激して、こわばりやだるさ、
重さといった肩こり特有の症状を引き起こすのです。
筋肉の中に発生した乳酸等が流れていかず、筋肉内にたまってしまうと、筋肉にとどく酸素の量も減り、
さらに乳酸が作られ、筋肉が硬くなります。
そうすると、ますますコリを感じるようになります。
肩こりが慢性化すると、痛みの症状にまで発展し、
それがさらに筋肉の緊張を助長して血行が悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環が繰り返す様になると、近くを通る末梢神経は圧迫されたり、ダメージを受けたりします。
末梢神経は、それ自体が痛みやしびれを脳に伝える神経であるため、圧迫されたりダメージを受けると、
その場所がジーンとしたり、違和感が生まれたりします。
それがコリや痛みとして感じられるのです。
「筋肉疲労」と「血行不良」が起こる原因
肩こりを招く「筋肉疲労」と「血行不良」の原因には、次のようなものが考えられます。
同じ姿勢
長時間のデスクワークや、パソコン作業、スマホ操作など、同じ姿勢を続けていると、
首や肩の負担が増えます。
特に、パソコンやスマホを使う際に、首が前に出た姿勢をとっていたら要注意。
頭の重みで筋肉がカチカチに固まり、肩こりにつながります。
スマホを扱うときは、目線と同じ高さまで引き上げるようにしましょう。
運動不足
運動をしないと筋肉が衰えて、肩の負担が大きくなります。
また、筋肉の緊張状態が続いて、血流の悪化を招くため、肩こりが起こりやすくなります。
適度な運動で筋力アップを目指しましょう。
ただし、やりすぎは禁物です。かえって肩こりの原因になるので、ほどほどを心得ましょう。
眼精疲労
眼精疲労の症状として、肩こりが起こる場合があります。現代人は目を酷使しがちです。
パソコンなどの作業を行うときは、1時間に1回は休憩をはさみ、目を休ませてください。
ストレス
肩こりはストレスとも関係しています。
過剰なストレスにさらされていると、自律神経が乱れて、筋肉の緊張や血行不良が生じ、
肩のコリや痛みが出現しやすくなります。
自分なりのストレス発散法を見つけておくことが大切です。
冷房
冷房で体が冷えると血行が悪くなり、肩こりや腰痛を引き起こす原因となります。
元々肩こりや腰痛を抱えている方は症状が悪化しやすいので、
夏になって肩こりや腰痛がひどくなってきたと感じている方は冷房が原因かもしれません。
肩こりの他にも、冷房に長時間あたることで腰痛、頭痛、手足の冷え、
体がだるいといった体調不良が生じることがあります。
肩こりは大きな病気のサインかも
ほかの病気の症状として、肩こりが現れる場合があります。
たとえば、高血圧や更年期障害、狭心症などです。
長引く肩こりの陰には、重大な病気が潜んでいる可能性があります。
肩こり以外の症状に気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。
現代人の生活は肩こりの症状が出やすいもの。
気がついたタイミングで軽くストレッチを行ったり、筋肉だけでなく心もリラックスできるよう、
こまめに休憩を挟むことを心掛けたいですね。